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"ガシャポン" iRobot Roomba 開発秘話

発売中の「ガシャポン iRobot Roomba」ですが、なぜ?ルンバをガシャポンにしようとしたのか?
どんな苦労があったのか?バンダイの企画開発担当に迫りました!

[開発のきっかけ]家にルンバがやってきたからガシャポン化!?

──そもそも、なぜルンバをガシャポン化したのでしょうか?

松永:実は本物の「ルンバ980」を購入しまして。家にルンバがやってきたとき、子供たちが愛称をつけて呼ぶようになったんですよ。ルンバから“ルビー”って名付けて。「ルビー、ルビー」って言って追いかけ回したり、あと逃げたりとか、すごく微笑ましい(笑)。さらに妻からの信頼も厚くて。こんなに家族から愛されているマシンであれば、皆さん、「ミニチュアも欲しいのでは?」と思ったのが、開発のきっかけですね。

――ルンバ、かなり気に入ったようですね。

松永:本当に絵に描いたような「ルンバによって家が綺麗になるよ」みたいなものを実感しました。すぐに「“ルンバ”をガシャポンにしたい!」と思いました。

──よくよく考えると、トイ化は初ですよね?

松永:そうなんですよ。すでにカプセルトイとして商品化されていているかもと思ったのですが、初でしたね。月刊誌「DIME」でアイロボット社公認メジャーが付録にありましたが、こちらはあくまでも測定用のメジャーでした。

――開発はどのように進んだのでしょうか?

松永:実は、ルンバのメーカーであるアイロボット社様に許可をいただく前に、いきなりサンプルを作ってしまいました。取引メーカーさんにすごくギミックに詳しい方がいらっしゃったので、実機のルンバらしい方向転換や速度をいかに再現するか、相談しましたね。

──アイロボット社様とは、どのようにコンタクトをとられたのでしょうか?

松永:もともとルンバは「たまごっちがヒントになってる」とCEOがコメントされていたので、弊社とは何か親和性はあるとは思ってはいたんです。ただ、会社的には接点がなくて。アイロボット社様に直接電話して、熱意を伝えたところ、お会いしてもらえることになりました。

──ガシャポン化について反応はいかがでしたか?

松永:アメリカ本社にも承認をとっていただき OKいただけました! やはり動くものを見ていただいたのが大きかったかもしれません。

―― “動き”はポイントのひとつですよね。

松永:はい。ルンバらしい動きは見どころですね。本物のルンバはセンサーが感知することよって動いていますが、あくまでも感覚値ですが、ランダムの動きに見えるんですよ。少しでも近しい動きができればと再現しています。

――かなり複雑なギミックが盛り込まれているのでしょうか?

松永:ギミック自体はすごくシンプルなんですよ。いわゆるぜんまいの“ブルバック式”で走行しますが、可動式の前輪を固定せず軽めにすることで、少し動きにランダム性をもたせています。

――でも、ある程度、動くとUターンしますよね?

松永:実はこれもすごくシンプルな構造なんですよ。一定のタイミングで突き出しピンが飛び出て、この抵抗により反転します。なるべく動きも実機に近しいイメージで、見ていて楽しくなるようなものになったと思います。

[ラインナップは4種類]実機ルンバをこだわりの再現!

――今回、ラインナップは4種類ありますよね。

松永:当初、歴代ルンバの知識があまりなかったのですが、「初代や名機があるんです」とアイロボット社様からご教授いただいて。「じゃあ、ぜひそれも商品化しましょう」と4種類ラインナップすることになりました。しかも、アイロボット社様から開発用にと実機をすべてお貸出しいただきました。

──開発において、実機はどのように役立ったのでしょうか?

松永:実物を採寸させていただきました。それこそ、できるだけ本物に近付けるように。比率も含めて、実機をお借りできたからこそ、より精巧なものが作れました。初代ルンバなんて、今ではなかなかお目にかかれない貴重なものですから。本物の再現は、一番のこだわりポイントですね。

──4種類のバリエーションは、“色変え”でしょうか?

松永:いえ、みんな形が違うんですよ。それこそ金型も含めて、流用できる箇所はありませんでした。

――造形もだいぶこだわられているんですね。

松永:普通はよく原型師さんにお願いしますが、今回は実物があるので、それを縮小する方法でした。工場の設計担当の方が計った後に、リサイズして。スイッチ回りの凹みや各部のアール形状など、しっかりと再現しています。

――スケールはあるのでしょうか?

松永:1/7スケール相当ですね。直径50㎜の大きさになります。実は裏面もこだわりポイントになっておりまして、すべてディテールが違うんです。実機をお借りしたからこそわかったことなのですが、機種ごとに裏面の形状が全部違ったんですよ。

──具体的な違いはどのあたりでしょうか?

松永:走行ギミックの都合上、タイヤなどの配置は(機種ごとに)変えられませんが、メインの「デュアルアクションブラシ」やゴミをかき出す「エッジクリーニングブラシ」などの形状をディフォルメしつつ再現しています。

──なるほど! タイヤ間のデザインが全部違いますね。

松永:アイロボット社様も、そこまでやると思ってなかったみたいで、驚かれたみたいです(笑)。

――形状以外にこだわった箇所はありますか?

松永:カラーリングですね。ツヤの有無や表面処理みたいなところも実機を再現しました。これは塗装だけの表現ではなくて、金型でツヤ具合を調整しているんですよ。実機の素材感を検証しながら、ツヤ感も1基ずつ調整しました。

――ロゴなどの文字も細かく再現されていますよね。

松永:タンポ印刷と呼ばれる、複雑な形状にも印刷できる技術を使っています。文字類も実機からそのままトレースしているので、間違いないはずです(笑)。

――走行ギミック、細かな彩色、形状の違いと、コスト的に本当に300円で大丈夫なんですか?

松永:ええと、ちょっと難しかったですね(笑)。ギミックもののガシャポンは500円シリーズもありますが、でも、あまり高額にはしたくなかったんです。本当はギミックもなし、背面ディテールも共通であれば、コスト的には抑えられるのですが、再現性の高さにもこだわりたかったので。

――実はあんまり大丈夫でないような?

松永:まあ、工場の方にも、協力してもらいまして。ちょっと無理してますけど、それは企業努力です(笑)。何より、今回は「作らせてもらいたい」という熱意がスタートでしたからね。

[アイロボット社限定版仕様]さらなるバエリーション

――今後、バリエーション展開はあるのでしょうか?
松永:実はアイロボット社限定仕様が12月以降に展開予定です。

――通常版との違いは?

松永:ルンバって作動中は緑に光るんですよ。このON状態を彩色で再現したものが限定仕様版となっています。言うなれば、「スイッチON Ver.」ですね。

――これはどこで展開予定なのでしょうか?
松永:※家電量販店などの売り場でプレゼント予定です。非売品なので、裏には“NOT FOR SALE”と刻印されています。それと、ちょっと遊び心を入れたいとお話があったので、アイロボット社限定カラー用のカプセルも作りました。通常版は赤とか青のカプセルですが、限定カラーとしてアイロボット社様のコーポレートカラーのクリアグリーンになっています。ガシャポンの自販機も弊社からレンタルさせていただきました。

――第二弾以降の構想はあるのでしょうか?

松永:カラーバリエーションはもちろんですけど、最上位機「i7+」は、ゴミ箱“クリーンベース”込みでやってみたいです。あとは四角い床拭きロボット「ブラーバ」もいいですし。さらに進んで、アイロボット社様で過去に開発していた、探査ロボット「バックポッド」、地雷除去ロボット「アリエル」もやってみたいですね。アイロボット社様のロボットは、男心というか、メカ心をくすぐるところがあるんですよ。

――日本で300万台、全世界で2500万台と多くのユーザーから愛されているルンバですから、きっとガシャポンも大ヒットになるのでは?

松永:そこは“とらぬ狸の皮算用”になっちゃいますけど(笑)。本物を使って実感できたのですが、本当にルンバは信頼できるんです。毎日掃除してくれるので、家の中が綺麗になって。しかも、(ルンバが)いつも掃除をするので、子供たちもそれを理解して、おもちゃを出しっ放しにしないなど、家庭的にもすごく良い環境になりました。世界中で愛されている理由がわかりますね。

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